hmori_sam この授業では、地球を構成する物質(鉱物)の結晶としての性質について学びます。

 

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授業内容

hmori_1 「氷河は何故流れるのでしょう?」教員が学生に質問を投げ掛けました。その答えである“結晶中の欠陥”。これが今回の授業のキーワードです。  実在の結晶は、理想的な結晶構造ではなく、原子の配列が乱れた「結晶欠陥」を含んでいます。教員は、3種類の結晶欠陥:「点欠陥」「線欠陥」「積層欠陥」について、スライドによる解説を加えながら、教科書に沿って説明を進めました。
 欠陥について学ぶには、熱力学の概念も必要となります。教員は、欠陥の詳しい解説に移る前に、復習として、「自由エネルギー」「エントロピー」「エンタルピー」という用語を取り上げ、自然界の化学反応は、自由エネルギーが減少する方向に自発的に進んでいくことを学生と確認し合いました。

hmori_3 欠陥の原因には、不純物の混入などで発生する外因性と、熱の影響で自発的に増殖する内因性のものがあります。内因性点欠陥の濃度(結晶中の欠陥の割合)は、温度に指数関数的に依存し、式ではn/N=eΔg/2kTと表されます。つまり、温度が上昇すると点欠陥濃度が爆発的に上昇するのです。温度上昇に伴って結晶欠陥の濃度が上昇するのはごく自然な流れであって、「自然界は当たり前のことしか起こらないようになっている」と教員は語ります。

 

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 「必ず使いこなせるようになるように」と教員は「クレーガー?ビング記号」を紹介しました。クレーガー?ビング記号とは、格子欠陥を規則に当てはめて記述する表記形式です。例えば、「V”Mg」は「Mgの位置が空孔となって、マイナス2価に帯電している」状態を表しています。負の電荷は’で表し、格子空孔はVで表すといった数種類の規則があります。では、「Ali」はどのような状態を表しているでしょう?
 今は規則に照らし合わせながらで、回答に手間取る学生ですが、この授業を修了する頃には、すらすら回答できるようになっているでしょう。

教員からのコメント

hmori 鉱物学概論は、理学部地球科学科2回生前期に開講される科目で、地球科学分野で扱う最も基本的な物質である“鉱物”についてその物理的および化学的性質の基礎を学習する科目です。
 この授業では、鉱物を特徴づけるもっとも基本的な性質である化学組成と結晶構造について、結晶化学の一般的な教科書を用いて学習します。それは、“結晶化学”が地球科学分野に限らず、固体物質を扱う物理、化学、材料など広範囲な分野に共通の基礎知識として重要だからです。鉱物の化学組成と結晶構造から出発して、X線回折を用いた結晶構造解析、結晶成長、結晶欠陥などの項目についても学習します。鉱物学概論で学んだこれらの内容は、2回生後期に開講される鉱物学でより深い内容に発展していきます。

 

学生からのコメント

hmori_stu みなさん、結晶(crystal)というと、なにを思い浮かべますか?
 水晶や、ルビー、サファイア、ダイヤモンドと、宝石類が思い浮かんだ人が多いことでしょう。しかし実は、身の回りにあるかなりのものがものすごく小さな結晶からできています。砂や岩石、金属などもそうです。塩化ナトリウム(食塩)(NaCl)はみなさんご存じですよね?そう、この塩化ナトリウムも結晶です。中学生のころ、顕微鏡で覗きながらスケッチしたことは覚えていませんか?小さな粒をよく観察してみると、どれも同じような四角い形をしていて、ピラミッドが2つくっついたような形をしていましたよね。塩化ナトリウムは、食塩として海水から取り出されます。また、鉱物としても採掘されます。それは、岩塩と呼ばれています。
 この鉱物学概論では、このような結晶はどのように分類されているか。どのように成長させて、精製することができるのか。どのような結晶構造があるのか。どのようにしてこのように小さな結晶を調べるのか。などについて鉱物の1つ下の単位である結晶から学んでいます。この講義を履修している学生は、地球科学科の方が多いですが、このように、地球の美しさ、神秘の世界について学ぶのが地球科学科です。私たちはこれからも、地球について新しい発見、知識を増やしつつ、今後の環境問題の対策または、未知への解明に少しでも力になれることを目標に学んでいきたいと考えています。
 このように地球や地球環境について考えたい人、この講義のような鉱物の世界や、地球内部、海洋、宇宙について探求できる仲間が今後も増えてくれたら嬉しいです。